【感染経路】
梅毒トレポネーマという病原体により引き起こされる感染症です。
主にセックスなどの性的接触により、口や性器などの粘膜や皮膚から感染し、オーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)などでも感染します。
皮膚や粘膜から体内に侵入し数時間でリンパ節に達し、そこから血液を巡って全身に広がっていきます。
そのため、時間の経過と共に症状が全身に現れるようになります。
一度治っても再び感染する感染症で、治療しないと全身に多彩な臨床症状をきたす可能性があります。
適切な抗菌薬治療を受けなければ、深刻な健康上の影響が起こり、母子感染を起こした場合は、流産、死産、先天梅毒などが起こる可能性が高まります。
感染者数は年々増加しており、かなり身近な性病になりつつあります。
【症状・潜伏期間】
潜伏期間は人それぞれですが、1週間~13週間と言われています。行為から1か月程度経過していれば検査は可能です。
主な症状は時期によって分かれており
〈Ⅰ期〉感染~3週間頃
性器・肛門・口に3ミリ~数センチのできものが出現し1か月程度で消失します
太ももの付け根あたりが腫れたりします
※この時にヘルペスやコンジローマなどと思って受診し、早期発見につながるケースも多くあります。
〈Ⅱ期〉感染後3ケ月~
手のひらや足の裏、身体全体に赤い発疹ができ始める。
数か月~半年程度で消失する場合が多い
〈Ⅲ期〉感染後3年~
全身に炎症が起き、ゴムのような腫瘍が皮膚や筋肉にできる
〈Ⅳ期〉感染後10年~
脳や心臓に病変ができ始める
【検査方法】
主に血液検査にて抗体を検査します。
婦人科、泌尿器科で多くのクリニックで検査が可能、自治体により無料で検査をしている地域もあります。
もし陽性だった場合、保険適応にて治療が可能、自費での治療は1万円以上はかかる可能性が高いです。
一部の機関ではオンラインでも検査が可能、検査キットの針を指に刺し、ご自分で血を取る方法になるので苦手な人は病院で採血してもらう方法が良いかもしれません。
オンラインでは保険が使えないので価格は高くなります。
【治療方法】
ペニシリン系の抗生物質の飲み薬や筋肉注射で治療します。
飲み薬であれば毎日3回、月単位で長期的に内服が必要となります。
筋肉注射であれば1回の注射で治療完了です。
梅毒の治癒判定は他の性感染症に比べると少し特殊で、定期的に採血検査を行い、体内の病原体の数値の下がり具合から判断するため1~3ケ月程度を要します。
治療後は体内に抗体が残るので、一度感染すると抗体は陰性になることはありません。
病原体の量と抗原の有無によって感染させてしまう状態か、再発しているかの有無を確認していくため、治療後も定期的な検診が必要となります。
【予防法】
梅毒の感染を予防するためには、梅毒に罹患した者との性交渉を避けることが基本です。 また感染部位と粘膜や皮膚が直接接触をしないように、必ずコンドームを使用しましょう。
口に症状があればキスでも感染します。
身体に傷などのない健康な皮膚状態であれば、梅毒は体内に侵入できないため梅毒の人と一緒に入浴しても感染のリスクは低いです。
潜伏期間が長く、症状に気付きにくい感染症のため、定期的に検査を行い早期発見、早期治療に努めましょう。