Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)のことで、人の体内にある免疫細胞に感染するウイルスです。
免疫細胞に感染した結果、これらの細胞の中でHIVが増殖します。
このため、体を守る免疫細胞が体の中から徐々に減っていき、普段は感染しない病原体にも感染しやすくなり、さまざまな病気を発症します。
この病気の状態をエイズ(AIDS:Acquired Immuno-Deficiency Syndrome、後天性免疫不全症候群)と言います。
混同される方が多くいらっしゃいますが、エイズはHIVウイルスによって引き起こされる病気です。
HIVウイルスに感染してすぐにはエイズになりませんが、いつ発症するかもわかっていません。
・感染経路
主な感染経路は「性的感染」、「血液感染」、「母子感染」となっています。
血液、精液、膣分泌液、母乳などに多く分泌され、粘膜(腸管、膣、口腔内など)および血管に達するような皮膚の傷(針刺し事故等)からであり、傷のない皮膚からは感染しません。
「性的感染」
HIV感染は、性行為による感染が最も多くなっています。
男女での性交渉ではもちろんのこと、男性同士での性交渉でもリスクはかなり高くなります。
膣や口腔の粘膜と比較して腸の粘膜は薄く傷つきやすいため、ウイルスが侵入しやすくなっています。
「血液感染」
輸血、注射器・注射針の共用による麻薬の回し打ち、医療現場による針刺し事故など、感染者の血液が他のヒトの血管中に侵入することにより感染します。
「母子感染」
母子感染は、出産時の産道感染、母乳哺育による感染、胎内感染があげられます。
現在は妊娠初期の検査、妊娠中の治療、出産時の抗ウイルス薬投与などの対策が強化され、感染率は低下しつつあります。
・予防方法
体液が粘膜や傷のついた皮膚に触れないようにすることが必要です。
HIV感染の一番多い感染経路である性行為の場合、必ずコンドームを使用すること、また、相手に使用してもらうことが重要です。
・かかっているか調べる方法
HIVに感染してから2〜6週間(急性期)には、50〜90%の人に何らかの症状(発熱、リンパ節腫脹、咽頭炎、皮疹、筋肉痛、頭痛、下痢等)がみられると言われています。しかし、どれも特別な症状でないため気づきにくく、検査に繋がりにくい状態です。
HIVに感染したかを調べるためにはHIV検査を受けるしかありません。HIV検査は血液検査になりますので採血をします。
全国のほとんどの保健所等で無料・匿名で検査が受けられます。有料ですが、医療機関でもHIV検査は受けられます。
オンラインでの検査を行っている企業も増えていますが時間がかかります。
少しでもHIV感染の心配があれば、検査を受けてみてください。
HIV感染症の治療開始の遅れは、生活の質の低下や生命予後の悪化につながります。
ですが、エイズの発症によって、HIVに感染していたことが分かる事例が全体の3割を占めています。
エイズが発症し、未治療のままだと予後が3年とされています。
発症する前にウイルスがいるかどうか検査し、早期発見が大切です。
他の性病も含め定期的に性病検査を受けにいくようにしましょう。