トリコモナス原虫という、肉眼では確認出来ない程の小さな虫(大きさは約0.1mmと非常に小さい)が性器内へ入り込み、炎症を引き起こす性感染症の一つです。
男性よりも女性に症状が出易く、腟炎を起こすため、トリコモナス腟炎とも言います。
また、トリコモナス症は母子感染を起こす性感染症であり、感染した時期により異なるものの早産や前期破水を引き起こすリスクが高い性感染症です。
【感染経路】
主に腟性行で感染します。
感染者の腟分泌物や、精液を介して他者へ感染します。
しかし、性行為以外でも精液や腟分泌物などが付着した下着、タオル、便器、浴槽などを介しての間接的な感染を起こす可能性もあります。
【潜伏期間】
10日前後
(女性:5~14日で症状が出始めることもあります)
しかし、感染後無症状の場合や、感染から半年程経過して症状が現れる方など、発症のタイミングに個人差が大きいのも特徴。
【症状】
男性:前立腺や精巣、尿道に寄生
・尿道よりうみ
・排尿時の痛み、不快感
・頻尿
・尿道の痛みや痒み
※男性は無症状なことが多い
女性:腟や子宮頸管、膀胱や尿道へ寄生
・おりものの変化
(量の増加、泡状で強い悪臭[魚臭い]を伴う白色~黄色、黄緑色のおりもの)
・外陰部の痒み、痛み
・排尿時の痛みや性行時の痛み
・下腹部の痛み
※症状が人によりかなり異なるのが特徴
腟の常在菌の栄養分をトリコモナス原虫が横取りすることで、腟の中が酸性に保てなくなり、腟内に様々な菌が定着します。
それにより、症状はどんな菌が増えるかにより異なるようになります。
【放置するとどうなるか】
男性:前立腺炎
女性:不妊症や早産、流産のリスクを高めることがあります。
【検査方法】
ほとんどの病院で検査は可能
・尿検査
・スワブ検査
簡易キットで調べる方法もあります。
【治療方法】
メトロニダゾール(フラジール)の内服
【予防方法】
・不特定多数との性行為を避け、コンドームを正しく使用する
・性行為以外でも感染する可能性はあるため、パートナーや家族とのタオルの共有は避ける
・パートナーに感染が発覚した場合は、治療を行っても再発する可能性があるため、二人で検査、治療を行う