~感染経路・症状・検査・治療法~
【感染経路】
クラミジアとは、日本国内で最も多い性感染症(STD)の一つで、クラミジア感染症とも呼ばれており、クラミジア・トラコマチスという病原体が、性行為などにより粘膜に感染します。感染部位は男性の場合は尿道や肛門、女性の場合は膣、また男女共通としてのどへの感染もあります。性感染症の中でも最も感染者数が多く、ポピュラーな病気といえます。
【症状・潜伏期間】
男性
・軽度の尿道掻痒感(かゆみ)や不快感
・軽度の排尿時痛
・尿道から少量の分泌物、膿のような物(漿液性~粘液性)
・精巣上体の腫れ
女性
・帯下(おりもの)の増加
・不正出血(生理時以外の出血)
・下腹部の痛み
・性交時痛
咽頭
・のどの腫れ
・のどの痛み
・発熱
肛門
・軽度の下痢
・肛門周辺の痛み
・肛門からの出血
・直腸の粘膜がデコボコになる(イクラ状粘膜とよばれる)
潜伏期間は1~3週間あり、潜伏期間であっても粘膜接触があった場合は相手に感染させてしまう可能性があります。PCR検査であれば潜伏期間中でも検査は可能です。
また8割は無症状との研究データもあるため、知らないうちに症状が進行している場合もあるので、コンドームを使用しなかったり、オーラルでの性行為があった場合はこまめな性病検査をおすすめします。
【放置するとどうなる?】
・HIVに感染しやすくなる
クラミジアをはじめとした性感染症に感染していると、HIVに感染する可能性が3~5倍高くなるとされています。感染によって粘膜に炎症が起こると、ウイルスが侵入しやすくなるためです。
・女性の場合不妊に繋がる
、知らない内に腟内から子宮→卵管→骨盤内へと炎症が広がり、卵管炎や卵巣炎、骨盤腹膜炎を起こし、PID(骨盤内炎症性疾患)を発症する可能性があります。
・知らないまま妊娠、出産すると
母親がクラミジアに感染したまま出産した場合、赤ちゃんの目に感染し、充血や目やに、まぶたの腫れといった症状を引き起こします。
【検査方法】
男性:尿
女性:膣に綿棒を入れて粘膜を採取します
咽頭:うがいした液を検査します
※生理中でも検査できる?
生理中は精度が落ちるためなるべく避けることをお勧めします。
※どこで検査できる?
泌尿器、婦人科にて検査を実施
市区町村によっては一部検査を無料で行っている自治体もあります。
※対面で受診するのは恥ずかしい
オンラインでの検査キットを使用し検査をしている企業もあります。
病院、クリニックで検査をする場合
メリット
・直接医師へ相談ができる
・病院、クリニック先により即日検査結果が出て治療もできる
・場合によっては保険診療が適応となる
デメリット
・直接出向かないといけない
【検査キットで検査をする場合】
メリット
対面せずに検査可能
スマホひとつでどこにいても申し込み可能
デメリット
血液検査はできないためHIVやB型、C型肝炎等検査できない
時間とコストがかかる
治療は病院へ行く必要がある
費用
公的医療保険が適用されるときと、保険を適用しない自費診療の場合があります。
心配だから検査を行いたいなどの理由で性病(性感染症)の検査を受ける場合は、健康診断と同様の扱いとなりますので保険適用外となります。
またご本人の意思で保険証を使用されたくない場合や、保険診療の適用外の検査項目を検査されたい場合などは自費でのお支払いとなります。
各クリニックで設定価格が異なるので比較して安いところを探すのも一つの方法です。
結果にかかる時間
午前中に受診すると即日結果が返ってくるクリニックもあります。
調べる項目によっては数日~1週間かかるので診察時に医師に確認するようにしましょう。
【治療方法】
クラミジアが陽性になった場合、
アジスロマイシン(ジスロマック)、ミノマイシン(ミノサイクリン)などが治療薬として使われます。
アジスロマイシンは4錠を1回で内服し、治療完了です。
内服後すぐに完治するわけではないので、いつから性行為が可能なのかは医師に確認するようにしましょう。
PCR検査だど菌の死骸にも反応して陽性になってしまいます。
再検査をする場合は治療後2週間は経過してから陰性の確認をするのがおすすめです。
※治療したのに症状が治らない
菌が耐性を持っていて使用した薬剤が効かないことがたまにあります。
抗生剤を変更して再度治療をする必要があります。
※治療後結果は陰性になったのにまだ違和感がある
検査した項目以外にも性病はたくさんあります。
その他の性病に罹っているか、感染したあとの炎症が残っており違和感を感じている場合があります。
その場合は医師に相談してください。
【予防方法】
①コンドームを装着する
避妊具としてのイメージが強いですが、性病の感染リスクも下げてくれます。
女性がピルを飲んでいても男性はコンドームを装着することで妊娠率、性病罹患率を大幅に下げることが可能です。
②不特定多数との性行為を避ける
性行為の対象人数が増えれば増えるほどリスクは高くなります。
一夜限りのワンナイトの関係や性風俗店の利用でもクラミジアの感染リスクは高くなり、その場のノリや雰囲気、アルコールによって気が緩んでいる時なども避けるべきです。
特定の相手とだけであれば、どちらかが過去にクラミジア感染し放っておかない限り感染するおそれはありません。
パートナーを限定するだけでも感染リスクは抑えられるので、性的な行為は信頼できる相手とのみ楽しむようにしましょう。
③定期的に性病検査を受ける
クラミジアは男性が50%、女性は80%が無症状のため、感染に気づかずに検査・治療する機会を失ってしまいがちです。
最近パートナーが変わった
性的関係にある人が複数人いる
コンドームを使わないことがある
クラミジア検査を受けたことがない
一つでも当てはまるなら、クラミジアに感染している可能性があります。
予防は毎回の性行為で行うことに意味があり、パートナーが変わったり、性的接触が多い人は、必要に応じて予防を講じなければクラミジアに感染しやすくなります。